おなら・腹部膨満感・お腹の張りに使われる漢方薬・生薬まとめ

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おなら・腹部膨満感・お腹の張り×漢方薬

目次:

 

おなら

 

1. おならの原因

おならは、人前でするのは行儀が悪いですが、どんな美しい人でもおならはします。

 

健康な人は1日平均10〜20回すると言われています。

 

 

腸で作られたガスは、約15%はおならとして、約85%はゲップとして排出しています。

 

1日10〜20回のおならであれば特に問題はありませんが、おならの臭いが強烈であったり、おならの回数が異常に多かったり、お腹にガスが溜まって腹痛を伴う場合は、腸内環境が乱れている状態です。

 

考えられる原因としては、食生活の乱れ、ストレス、便秘などがあります。

 

乱れた生活習慣を改善すれば、おならの不快症状は治ります。

 

 

しかし、なかなか症状がよくならない過敏性腸症候群(IBS)という病気が最近よく聞かれるようになりました。

 

これもストレスやライフスタイルの変化などが原因として考えられるので、現代社会がもたらした病気とも言えます。

 

IBSは大腸の運動や分泌機能に異常を起こし、下痢や便秘、腹痛、腹部膨満感などが起こります。

 

症状によって下痢型、便秘型、下痢便秘型、ガス型に分けられます。

 

 

誰でもするおならですが、不快な症状が伴うおならの場合、もしかしたら裏に病気が隠れていることがあります。

 

 

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2. おならの漢方治療

漢方では、おならの不快な症状の原因は、胃腸の気が不足している(脾胃気虚[ひいききょ])状態によるもの、あるいは気の流れが滞っている状態(気滞)によるものと考えます。

 

 

脾胃気虚になると、食べたものを消化吸収する速度が遅くなり、腸の中にガスが発生します。

 

さらに悪臭を伴うおならが出やすくなります。

 

 

気滞は、過度のストレスにより、気の流れを調節する「肝」がダメージを受けることによって生じると考えます。

 

気滞になると、ガスの排泄ができず、お腹にガスが溜まりやすくなります。

 

その結果、おならが出にくくなったり、逆におならが異常に出る場合もあります。

 

 

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3. おならに使われる漢方薬、組成生薬の特徴

胃腸の消化が弱っている脾胃気虚の場合には、脾胃の力を高める生薬(補気薬)を用います。

 

人参(にんじん)、甘草(かんぞう)、黄耆(おうぎ)、白朮(びゃくじゅつ)、大棗(たいそう)が代表的です。

 

また、気が滞る「気滞」によるおなら症状には、気の流れを促進させる効果のある生薬(理気薬)を用います。

 

柴胡(さいこ)、桂皮(けいひ)、厚朴(こうぼく)、薄荷(はっか)、香附子(こうぶし)、枳実(きじつ)、陳皮(ちんぴ)、紫蘇葉(しようそう)、半夏(はんげ)が代表的です。

 

おなら症状に便秘を伴う場合は、便秘に効果のある漢方薬を用います(便秘と漢方参照)。

 

補気作用のある生薬
人参
(にんじん)
ウコギ科のオタネニンジンの根をそのまま、または湯通し、乾燥させたもの。
消化機能を高め、気の生成を高める作用があります。
甘草
(かんぞう)
マメ科のカンゾウの根や根茎を乾燥させたもの。
色々な生薬の働きを調和し、緊張を緩める作用があります。
黄耆
(おうぎ)
マメ科のキバナオウギ、ナイモウオウギなどの根を乾燥させたもの。
「気虚」を改善する作用があります。
白朮
(びゃくじゅつ)
キク科のオケラの根茎を乾燥させたもの。
体内の水分代謝を改善し、消化機能を高める作用があります。
大棗
(たいそう)
クロウメモドキ科のナツメの果実。
胃腸の機能を整える作用があります。

 

理気作用のある生薬
柴胡
(さいこ)
セリ科のミシマサイコの根を乾燥させたもの。
熱を冷まし、気の滞りを除く作用があります。
桂皮
(けいひ)
クスノキ科のニッケイの樹皮または枝を乾燥させたもの。
気の巡りを整え、体表の毒を除く作用があります。
厚朴
(こうぼく)
モクレン科のホオノキの樹皮を乾燥させたもの。
気を巡らせ緊張や痛みを和らげる作用があります。
薄荷
(はっか)
シソ科のハッカの地上部を乾燥させたもの。
気を巡らして元気を出させる作用があります。
独特の香りをもち、気分を鎮めたり、不安をとりのぞいたりなど気の滞りを改善します。
香附子
(こうぶし)
カヤツリグサ科のハマスゲの根茎を乾燥させたもの。
気滞を改善し、膨満を治す作用があります。
枳実
(きじつ)
ミカン科のダイダイまたはナツミカンの未熟果実をそのまま又はそれを半分に横切したもの。
胃腸の蠕動を強めて、気の滞りを解消します
陳皮
(ちんぴ)
ミカン科のウンシュウミカンなどの成熟果皮を乾燥させたもの。
気を巡らせ、胃腸を元気にさせる作用があります。
紫蘇葉
(しそよう)
シソ科シソまたはその近縁種の葉、枝先を乾燥させたもの。
気を巡らし、発汗、解熱、鎮咳、鎮静作用があります。
神経症にも使われます。
半夏
(はんげ)
サトイモ科のカラスビジャクの塊茎を乾燥させたもの。
水の代謝を改善し、気の巡りを調整する作用があります。

 

おならに用いられる漢方薬の構成生薬と特徴
大建中湯(だいけんちゅうとう)
  • 構成生薬
    乾姜(かんきょう)、人参、山椒(さんしょう)、膠飴(こうい)
  • 特徴
    体力のない人で、お腹が冷え、腹部膨満感や腸管にガスがたまっている場合に良く用いられます。
    血行を良くして、胃腸の働きを活発にすることで改善します。
    過敏性腸症候群の症状を和らげる効果があります。
    また、腹部の手術後のイレウスの予防に効果があると注目され、腹痛や吐き気、嘔吐などの症状を緩和すると報告されています。

 

当帰湯(とうきとう)
  • 構成生薬
    当帰、半夏、桂皮、厚朴、人参、黄耆、山椒、甘草、乾姜
  • 特徴
    血行を良くして、体を温める作用があります。
    特に、体力がなく冷え性の人に効果的です。
    腹部膨満感、腹痛を伴う場合に用いられます。

 

桂枝加芍薬湯(けいしかしゃくやくとう)
  • 構成生薬
    桂枝、大棗、生姜、甘草、芍薬
  • 特徴
    冷え性で、お腹が張って痛む人に効果的です。
    腹部膨満感、しぶり腹、があり、下痢、便秘どちらにも用います。
    腸の異常な運動を抑える作用があり、過敏性腸症候群の症状にも用いられます。

 

桂枝加芍薬大黄湯(けいしかしゃやくだいおうとう)
  • 構成生薬
    芍薬、桂皮、大棗、甘草、大黄、生姜
  • 特徴
    体力は中程度の人に用います。
    腹部が張り、しぶり腹の人に効果的です。
    また、精神的ストレスによる過敏性腸症候群の治療にも用いられています。

 

加味逍遥散(かみしょうようさん)
  • 構成生薬
    当帰、芍薬、白朮、茯苓(ぶくりょう)、生姜、甘草、柴胡、牡丹皮(ぼたんぴ)、山梔子(さんしし)、乾姜、薄荷
  • 特徴
    疲れやすく、手足がだるい、肩こり、頭痛、めまいなど女性の不調によく用いられます。
    ストレスやイライラを和らげる効果があり、ストレス性のおならにも効果があります。
    腹痛を伴う下痢や便秘の治療にも用いられます。

 

 

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4. まとめ

今回は、おならに効果のある漢方薬を紹介しました。

 

不快なおなら症状は、乱れた生活習慣が原因となることが多く、漢方の力を借りつつ、自分の生活を改めて見直すことも大切です。

 

 

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